2022年を振り返り… 今、読みたい小説5選

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つれづれ
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こんにちは、つれづれ(@periodnovels)です。2022年ももうすぐ暮れていきますね。今回は、色々なことがあった2022年を振り返り、今、読みたい本を5つセレクトしました。

もうすぐ2022年が暮れていきます。今年も、悲しい出来事から歴史的快挙まで、多くのことがありました。

あなたの2022年はどのような1年でしたか?

今回は、2022年に『小説好きの読書案内』でご紹介した数々の本の中から、今年を振り返る今だからこそ読みたい小説を5つご紹介します。

2022年、挑戦した人へおくる1冊

”挑戦” ここでは何か新しいことに取り組むことを意味しています。それは新しい趣味を始めたでもよし、転職・独立といった人生の転機でも構いません。

2022年、何かに挑戦した人へおすすめしたい1冊は、「万波を翔る」木内昇著

時は幕末。ペリー来航から慌てふためく江戸幕府において、外交官に任命された田辺太一(1831-1915)を主人公に江戸幕末の外交を描きます。

前例のない外交官という仕事に加え、分からない言葉、面倒くさい癖のある上司など、いくつもの壁にぶつかりながら仕事に挑戦していく姿を描きます。700ページにわたる大作でありながら、コミカルな文体や駆け引きに引き込まれ、あっという間に読み終えてしまう作品です。

前例のない仕事に挑んでいく太一の姿に胸が熱くなり、自分自身の挑戦により深く熱中していける作品です。

2022年、努力した人へおくる1冊

頑張ったなぁと思うこと、誰にでもあるのではないしょうか。

そんな、今年頑張ったなぁと努力した人に読んでいただきたい1冊が、「夕は夜明け空を飛んだ」岩井三四二 著

明治末期の日露戦争前夜。生まれたばかりの新技術「無線機」を戦争に間に合わせるべく、未解明の無線技術の解明から無線機の開発量産を命じられた 木村駿吉(1886-1938)を描きます。

幕末から約40年。欧米の列強国に追いつけ追い越せと泥臭い努力を重ねた者たちが掴んだ奇跡の勝利。この1冊には明治時代に必死に努力を重ねた人々の姿が凝縮されています同じく何かに努力する読者の心を熱くさせ、奮い立たせてくれる作品です。

2022年、悲しい出来事があった人へおくる1冊

戦争・事故など、今年はいくつも悲しい出来事がありました。身近でこうした出来事があったかたいるかもしれません。

そんな、悲しい出来事があった人に読んでいただきたい1冊は、「チーム・オベリベリ」乃南アサ 著

明治初期、北海道は帯広の開拓に従事した晩成社。この晩成社の3幹部の一人である鈴木銃太郎の妹であり、同じく3幹部の一人である渡辺勝へ嫁いだ 渡辺カネ(1859-1945)を描きます。

夢を持って入植したオベリベリ(帯広市)は、手紙すら届かない原野。襲い来る洪水・飛蝗(バッタ)・霜などの自然たち。仲間割れを起こす3幹部に、カネが抱き始めた夫への諦め。チートも無ければ一発逆転もない日々を、ただひたすらに忍び積み上げた人々を描きます。先行きが見えずとも、日々の小さな喜びを見つけ、これまでの歩みを振り返ることで、そっと希望を見つける手助けをしてくれる作品です。

今年の出来事を振り返って…

最後に、今年の出来事を振り返って2作、ご紹介します。

1作目 二人のクラウゼヴィッツ

今年の大きな出来事の一つと言えば、やはり 戦争

現在も続くロシアによるウクライナ侵攻は、物価の高騰へと形を変えながら日本に暮らす我々の生活へも打撃を与えています。そんな戦争について、約200年ほど前にあらわされた世界的に有名な論文戦争論をご存じでしょうか。

一つ目にご紹介する小説は、この戦争論ができるまでを描いた「二人のクラウゼヴィッツ」霧島兵庫 著

19世紀初頭に起こったナポレオン戦争に従事した夫:カール・フォン クラウゼヴィッツ妻:マリー・フォン・ブリュールを主人公に、戦争とは何か著した論文「戦争論」がいかにして世に送り出されたのかを描きます。夫婦漫才のような二人のやり取りや、1章ごとに描かれる主題・テーマが何かを推理するなど、色々な楽しみ方ができる作品です。

しかし、いちばんの読みどころはやはり、戦争の悲惨さを体感し、戦争の矛盾と誰よりも向き合ったクラウゼヴィッツ夫妻が後世に託そうとした「戦争とは何か」という問いに対する想い戦争の不条理さと悲惨さを改めて痛感するとともに、それでも前を向いてきた人間の営みを味わう1冊です。

2作目 義経じゃないほうの源平合戦

今年、平安末期~鎌倉時代が流行ったのはご存じでしょうか。大河ドラマの「鎌倉殿の13人」に始まり、フジテレビでは「平家物語」のアニメverの放映など、改めて日本の武士・侍文化の端緒となった鎌倉時代に注目が集まりました。

そんな平安時代末期から鎌倉時代初期に起こった源平合戦を学べる1冊が、「義経じゃないほうの源平合戦」白蔵盈太 著

平安時代末期。源平合戦を舞台に、天才戦略家である兄:源頼朝と軍事の天才である弟:源義経に挟まれた、凡人の総大将:源範頼(1150-1193)を主人公として描く作品です。

中間管理職でもありながら、凡人と自覚する”範頼”は、自分自身の能力不足に苛まれます。しかし、彼が本来発揮した能力は、武が重んじられる時代にはあまりにも目立ちにくい能力でした。源平合戦の経緯や朝廷と頼朝の関係性をコミカルな文体で学べるとともに、凡人と自覚する人にとっては能力の多様性という明かりで先々の道を照らしてくれる作品です。

まとめ

2022年のこのブログで紹介した作品を中心に、2022年を振り返る「今だからこそ」読みたい小説をご紹介しました。

時代こそ違えども、実在の人物や出来事だからこそ、どこか人間臭いところに共感できるところが見つかると思います。1冊でも気になる小説があれば、ぜひ読んでみてください。

読者のみなさまが、よいお年を迎えられますように。

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